2024年10月の”推し”絵本
※各絵本をクリックするとコメントが表示されます。
ようこそSOBAへ
今月のお客様
絵本・紙芝居作家
いちかわけいこさん
プロフィール
1964年千葉県生まれ。保育園、養護施設に勤務後、嫁ぎ先で農業に携わる。地元の小学校、ブックスタートなどでボランティアに参加。自宅で家庭文庫を開いたこともある。「この本だいすきの会」会員。主な絵本に「しってるねん」(絵・長谷川義史 アリス館)「ねぇだっこ」(絵・つるたようこ 佼成出版社)「おばけかな?」(絵・西村敏雄 教育画劇)。紙芝居に「みんな1ねんせい」(絵・中谷靖彦)「げんきなかぼちゃ」(絵・長谷川知子)「おりょうりだいすきエプロンさん」(絵・市居みか)以上童心社。児童書に「海をわたる動物園」(絵・村田夏佳 アリス館)がある。神奈川県在住。
近況について
晩春から初秋にかけての農繁期は、ほぼ 毎日、家人を手伝って、草を刈ったりブルーベリーやスイカを収穫したりと、田畑と山の手入れに精を出しています。
最近は、自宅向かいにある学童クラブの小学生よりも日に焼けていて、まるでリアルな山姥です。
絵本や紙芝居など、書く作業は、年1作ほどののんびりペースで、もっぱら晩秋から春先の農閑期にしています。来年(2025年)2月「かぜひきかあさん」(絵・加藤休ミ 童心社)が出る予定です。(書いたのは去年の秋)
「おはなし会」を始めた理由や経過を教えてください
30年ほど前、子どもの本離れが顕著だと、「朝読書」や「読書ボランティア」の必要性が盛んに言われた時期がありました。ちょうどその頃、私は赤ちゃんだった次男を背負い、長男を連れてよく図書館に通っていました。
私は、幼少時、毎晩読み聞かせをしてもらえる家庭に育ちました。その読み聞かせをしていた母もまた、祖母の読み聞かせで育ちました。そんな環境だったので、子育てをするとき、私は真っ先に絵本に手を伸ばしました。
ある日、なかなか読みたい本が見つからない長男が、児童書の棚の間を行ったり来たり。後を追う私の背中が気持ちよかったのか、次男はご機嫌で「あー、うー」と喃語を唱えています。その声がきっと少し大きかったのでしょう。本袋を持ったご婦人にすれ違いざまに「ここは、遊園地じゃないのよ!」と吐き捨てるように言われてしまいました。仕方なく長男を連れて図書館を出ようとしていると、「背中のお子さん見ていてあげるから、お兄ちゃんと好きなご本を借りていらしたら?」と、声をかけてくださる天使のようなご婦人が現れました。嬉しくなって、その場で泣いてしまったのを覚えています。
その時のご婦人に一言お礼が言いたくて、後日新聞に投稿してみました。すると偶然それを読んだ公園のママ友から、「小学校で、おはなし会を始めようと思うのだけど、参加してみない?」と声をかけられました。
それから四半世紀、小学校や書店など、色々なところでママ友とお話会を開いてきました。これをご覧の皆様とも、いつかどこかでお気に入りの絵本とともにお目にかかれたら嬉しいです。
ご自分の作品でおすすめの紙芝居は何ですか?
「みんな1ねんせい」
絵 中谷靖彦
出版社 童心社
税込価格 2,090円
新1年生へのエールを込めた作品です。ここ2年ほど春先にFMラジオで紹介、朗読していただく機会があり、嬉しい限りです。
「げんきなかぼちゃ」
絵 長谷川知子
出版社 童心社
税込価格 2,090円
「おりょうりだいすきエプロンさん」
絵 市居みか
出版社 童心社
税込価格 1,540円
おじいさんと動物たちが育てるかぼちゃ。歌と一緒においしそうなカレーを作るエプロンおばさん。2冊とも、食育がテーマです。手遊びを一緒に楽しみながら読んでいただけたら嬉しいです。
おすすめの自作絵本をご紹介ください。
「しってるねん」
絵 長谷川義史
出版社 アリス館
税込価格 1,430円
男の子が商店街を歩きながら、見覚えのあるおばあちゃんを思い出そうとするのですが……。ネタバレになりますが、この作品は、実は道端で、歯医者ではなく耳鼻科の先生にあいさつされたことがヒントになって書き上げました。
「それはすごいなりっぱだね!」
絵 たかはしかずえ
出版社 アリス館
「おとうと」
絵 つるたようこ
出版社 佼成出版社
「それはすごいな りっぱだね」はミニチュアダックスの子犬が色々な生き物に出会って、褒める喜び、褒められる喜びを感じるお話。「おとうと」は、やんちゃな弟にお兄ちゃんが何をどう感じるか、少年の心とお母さんの愛情が、ほのぼのと伝わってきます。
この2冊は、現在絶版ですが、未だによく問い合わせをいただきます。問い合わせがあるたびに作品に対する『想い』を感じて嬉しくなります。図書館等で探して読んでいただけたら幸いです。
「海をわたる動物園」
絵 村田夏佳
出版社 アリス館
税込価格 1,540円
これは児童書ですが、父から聞いた実話を元に書き上げました。戦後、殺処分になってからっぽになった動物園に、動物たちを連れて行く手伝いをする大学生のシュン。アフリカから日本まで、62頭の動物たちとの旅のお話し。直接戦争を知らない世代の私ですが、心からの反戦の思いを込めました。