いつでも、どこでも、気軽に手に取れる絵本、あらゆる分野を網羅して、心の成長のために、学びのために、安らぎのために、多くの宝物をくれる絵本、どうぞ手に取って読んでみてください。
ひとりで読むのも、家族で読むのも、多くの子どもたちに読み聞かせるのも自由です。
絵本の選者 正岡慧子(絵本・児童文学作家)
絵本の
SOBA(そば)はクロアチア語で「部屋」のこと。
みなさんが絵本のSOBA(そば)で過ごす時間がより充実することを願って情報をお届けします。
2025年1月の”推し”絵本
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2025年1月 絵本の里剣淵から 明けましておめでとうございまーす!
「絵本の館」は北海道上川郡剣淵町緑町にあります。1988年に「けんぶち絵本の里を創ろう会」を結成、2004年に新「絵本の館」がオープンしました。 絵本の館には、世界中の絵本が45,000冊以上収蔵されています。絵本原画展を始めさまざまな活動が実践され、毎年来館者の投票によって賞を決定する「けんぶち絵本の里大賞」等を開催しています。
お話は「けんぶち絵本の里を創ろう会」会長の下田秀樹(しもだひでき)氏と初代会長の高橋 毅(たかはしたけし)氏に伺いました。
剣淵町の絵本の里づくりについて教えてください。
きっかけは、版画家の小池暢子さんの講演会で、東京のある絵本出版社の編集長さんだった方が、北海道に移住したがっているという情報を得たことでした。
早速剣淵に来ていただき町内を案内しますと「ステキな町なので、絵本の原画をみんなに見てもらう原画美術館を建てたら、たくさんの人が訪れ町が活気づくのでは」という言葉をくださったのです。町のオジサンたちの町を思う心に火がついた瞬間でした。
こうして1988年6月、民間主導による「けんぶち絵本の里を創ろう会」が発足しました。会員は農業、商業の従事者をはじめ、農協・役場の職員、施設職員、住職、主婦など、まさに町ぐるみの団結で、現在まで36年の年月を積み重ねています。
会の活動は多岐にわたりますが、1991年にあしたの日本を創る協会「ふるさとづくり大賞」で内閣総理大臣賞を、2007年に北海道新聞社「北のみらい賞」、2013年に「読売新聞社賞」などの受賞を受けました。2013年には剣淵町を舞台にした映画「じんじん」製作への協力なども行い、今なお剣淵町を日本のボローニャにしたいと町をあげて願っているところです
「けんぶち絵本の里大賞」について教えてください。
「けんぶち絵本の里大賞」は1991年創設で、作家や出版社から応募のあった前年4月〜当年3月までの1年間の新刊絵本のなかから、8~9月の来館者の投票によって大賞を決めるというもので、このような選定方法は国内でも例がありません。同時に大賞を除く上位2作品に「びばからす賞」が、過去に入賞したことのない作家の作品に「アルパカ賞」が与えられています。
第34回けんぶち絵本の里大賞の受賞作品
投票期間 2024年8月1日(木)〜9月30日(月)
「もったいないばあさんの おばあちゃん」
作・絵 真珠まりこ
出版社 講談社
税込価格 1,650円
「もったいないばあさん」シリーズの5冊目で、もったいないばあさんとそのおばあちゃんのお話です。もったいないばあさんは子どものころ、田んぼでお米作りをしているおばあちゃんから、感謝の気持ち、生きものたちへの思いやり、命のつながりなど、人として大切なことを学んだという内容です。「もったいないばあさんシリーズ」はそれぞれ今回で5回目の受賞です。
びばからす賞には「おまえうまそうだな さよならウマソウ」(作・絵 宮西達也)と「一年一組 せんせいあのね こどものつぶやきセレクション」(選者 鹿島和夫・絵 ヨシタケシンスケ)、アルパカ賞には「野球しようぜ!大谷翔平ものがたり」(文 とりごえこうじ・絵 山田花菜)が選ばれました。
「けんぶち絵本の里大賞」授賞式と「君の椅子」運動について
けんぶち絵本の里大賞授賞式は毎年2月に行われ、受賞作家を招いて表彰式や町民との交流会を開催します。受賞作家さんは小学校で読み聞かせをしたり、「君の椅子」(きみのいす)の贈呈式に出席。絵本を子どもたちに手渡します。
「君の椅子」運動は、旭川大学大学院のゼミからスタートしたプロジェクトです。子どもの誕生を地域の人みんなで喜び合うために、「生まれてきてくれてありがとう」という気持ちをこめて、誕生した子どもたちに子どもの存在場所の象徴として「椅子」を贈ります。
剣淵町はこのプロジェクトに2007年から参加し、すでに100脚以上の椅子が贈呈されています。
お父さんたちの読み聞かせ活動をお知らせください。
一般的に、絵本はお母さんと子どものためのものと思われることが多いようですが、共働きが多い今の子育て世代には、男女の関係なく絵本に親しみ、子どもといっしょに絵本を選んだり読んだりすることが自然ではないかと思います。
いい歳をしたおやじたちが絵本の読み聞かせをしている姿は、新しい試みのように報道されることもありますが、まずは父親である会員が恥ずかしがらず「絵本に親しむ」事が必要との思いから、「けんぶち絵本の里を創ろう会」設立以来ずっと続けられています。
けんぶち絵本の里を創ろう会 会長 下田秀樹さん
おすすめの絵本は?
「じゃがいもポテトくん」
作・絵 長谷川義史
出版社 小学館
税込価格 1,650円
私は農業者で芋を耕作していますのでこの話をよく読みます。秋に収穫された芋たち家族は、各お店に行き店頭に並びます。そして、色々なお客さまに買われてその家に行き、サラダとかフライとかになるのですが、料理に変身した芋たちが、運動会のおかずとなって再会するという楽しいお話です。
けんぶち絵本の里を創ろう会 初代会長 高橋 毅さん
おすすめの絵本は?
「おばあちゃんがいるといいのにな」
作 松田素子
絵 石倉欣二
出版社 ポプラ社
税込価格 1,320円
私は子どものころ、宮城県出身の本家のばあちゃんから、東北地方に伝わる民話をたくさん聞いて育ちました。この絵本は幼い頃を思い出させてくれます。「家の中にでーんと一人おばあちゃんがいるといい。」少年の中に生き続けるおばあちゃん。第5回けんぶち絵本の里大賞に輝いた絵本です。
けんぶち絵本の里を創ろう会 副会長 大澤秀明住職
おすすめの絵本は?
「おつきさまこんばんは」
作 林 明子
出版社 福音館書店
税込価格 990円
この絵本は私が生まれた年に発行された絵本で、小さいころによく読んでもらった絵本です。そして現在私には1歳の娘がいて、当時の絵本を引っ張り出してきて今度は私が娘に読み聞かせています。シンプルな言葉づかいと絵は、はじめての読み聞かせにぴったりで娘も大好きな絵本です。