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いつでも、どこでも、気軽に手に取れる絵本、あらゆる分野を網羅して、心の成長のために、学びのために、安らぎのために、多くの宝物をくれる絵本、どうぞ手に取って読んでみてください。
ひとりで読むのも、家族で読むのも、多くの子どもたちに読み聞かせるのも自由です。
絵本の選者 正岡慧子(絵本・児童文学作家)
絵本の
SOBA(そば)はクロアチア語で「部屋」のこと。
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2025年2月の”推し”絵本
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第39回「家の光童話賞」最優秀賞 田島 春香さん
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JAグループの家庭雑誌『家の光』で募集した、わが子に贈る創作童話・第39回「家の光童話賞」。応募作品524編の中から最優秀賞に輝いた「コッコロおむすび」の作者、田島春香さんにお話を伺いました。
田島さんは東京都世田谷区在住。作品は、『家の光』2025年1月号に掲載されています。
家の光童話賞に応募したきっかけはどんなことでしたか?
公募情報サイトで知ったのが最初のきっかけで、家の光童話賞への応募は今回で三回目になります。1、2度目は選外でしたが、今回も迷わず応募しました。家の前が田んぼという環境で育った私にはテーマの「農業」や「自然」はなじみ深いものでしたし、「食べ物」のお話を考えるのも楽しかったからです。すばらしい審査員の先生方に作品を読んでいただけるかも!という期待感も、執筆を後押ししてくれました。
ちょうどこの時パソコンが壊れていて使えなかったのですが、絶対出すぞと意気込んでスマートフォンの小さい画面でせっせと書いていました。目をしょぼしょぼさせながら頑張った自分に「ナイスファイト!」です。
受賞作「コッコロおむすび」には、おばあちゃんと「たっくん」のおむすびを通じた交流が温かく描かれています。作品に込めた思いをお聞かせください。
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弟や妹が生まれた時、兄や姉となる子は、多かれ少なかれ寂しさや嫉妬を感じるものだと思います。けれど、幼さゆえにその気持ちを自分でもはっきりと理解できず、わかってほしいのに言葉で伝えられなくてモヤモヤしてしまう。そんな「言葉にできないもどかしさ」に寄り添えるお話になればと思って書きました。
お話の中では、おばあちゃんがたっくんの気持ちを受け止めてくれます。あたたかい握りたてのおむすびは、おばあちゃんの目一杯の優しさです。そして、おばあちゃんが田舎へ帰る日、今度はたっくんが作ったおむすびで優しさのお返しをします。このおむすびは、ママがたっくんと一緒に作っている設定にしました。赤ちゃんのお世話が忙しくてもママはきちんとあなたを見ているよ、というメッセージを込めたつもりです。
ほんのちょっと、できる範囲でいいから、みんながみんなを想い合う。そんな優しい世界が、読んでくださった方の心に広がれば嬉しいです。
これから家の光童話賞にチャレンジしよう! という方に、アドバイスやエールをいただけたら幸いです。
アドバイスだなんて恐縮ですが、童話を書く時に気を付けていることを一つお伝えさせていただくとすれば、リズムでしょうか。書いている途中や書き上げた後、私は実際に声に出して読み返すようにしています。耳に心地よいリズムになっているか、子どもに読み聞かせをしているつもりで、また逆に自分が読み聞かせをしてもらっているつもりで確認するのが大事かなぁと思います。(と言いつつ、何度も読んでいるうちにどんどん正解がわからなくなって、迷路に迷い込むこともよくあります。)
家の光童話賞はいろいろなタイプの童話が入賞している印象があるので、メルヘンでもリアリティのあるものでも、楽しみながら書いて応募できるのが嬉しいですね。
田島さんの “推し”(おすすめ)作品を教えてください!
ボロボロになるまで読み聞かせした3冊です。
(1)「おすわりくまちゃん」
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文 シャーリー・パレントー
絵 デイヴィッド・ウォーカー
訳 福本友美子
出版社 岩崎書店
税込価格 1,430円
最後にやってきたちゃいくまちゃん、座れるイスがなくてしょんぼり。でも大丈夫。だってね、こうすれば……。大きくなった娘たちが今でも大好きな、可愛らしくて心温まる絵本です。ちゃいくまちゃん、よかったね。
(2)「いもむしれっしゃ」
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作・絵 にしはらみのり
出版社 PHP研究所
税込価格 1,430円
長男の絵本といえばコレ! と即答できるほど読み込んだ1冊。虫たちの様子が細かいところまでユーモアたっぷりに描かれているので、毎晩読んでも飽きません。虫好きさんはもちろん、苦手っ子にもオススメしたい絵本です。
(3)「ゴムあたまポンたろう」
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作 長新太
出版社 童心社
税込価格 1,430円
ビビッドな色合いと男の子の絶妙な表情に惹かれてパラパラ中をめくってみたら、なんてシュールな世界! なにコレ、ポンたろう、おもしろすぎる! 書店で衝撃を受けた私、ポンたろうを抱えてポーンとレジへ飛んでいきました。