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2024年7月号 絵本のSOBA

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北海道「やくも朗読サークル」

北海道「やくも朗読サークル」

2006年に八雲町立図書館主催「朗読ボランティア」講習会の参加者が中心となり発足。メンバーは10名。視覚に障がいのある方や高齢者を対象とした音訳活動をおこなうほか、同図書館と連携した「ロビー朗読会」「幻灯朗読会」が好評を博している。

2023年、第53回野間読書推進賞奨励賞受賞。

① 音訳活動

――八雲町の広報誌などを音訳し、八雲町立図書館に寄贈されています。音訳作業は、どのようにおこなっていますか? また、どんなことを心がけているでしょうか。

音訳とは、印刷物の情報を音声化することです。20ページ程度の広報誌の音訳には8時間程度かかります。 図書館の小部屋や自宅で、PCとマイク、ヘッドフォンなどを用いて録音します。校正者の指摘に応じて一部を再録音し、CDに収録して図書館に寄贈しています。

心がけているのは、書いてあることを正確に伝え、相手に話しかけるようにわかりやすく読むことです。また、音訳・朗読ともに、メンバー内で読みあいをして互いに良い点、悪い点を指摘しあい、絶えず技術を研鑽しています。

②朗読活動

――多彩に展開される朗読活動が、とても魅力的です。それぞれの簡単な概要や、対象者、プログラムの例などを教えてください。

ロビー朗読会

堅苦しいと思われがちな朗読を、もっと気軽に楽しんでもらいたい。

そんな思いがきっかけのミニ朗読会は、場所は出入りしやすい図書館ロビー、内容は数分で聞ける身近な題材・北海道新聞の「いずみ」で、2016年に始まりました。観客用の原稿を用意した「飛び入りコーナー」も人気です。20回を重ねる現在では、詩やエッセイ、短編小説や絵本なども取り上げ、毎回新たな試みを行っています。

幻灯朗読会

2012年より毎年10月、図書館視聴覚ホールで幻灯朗読会を開催しています。

宮澤賢治を題材にした版画を長年作り続けている函館在住の版画家・佐藤国男氏の協力のもと、版画絵を背景としてスクリーンに映し、賢治作品の朗読を行っています。映像とBGMを使った朗読会は好評を博し、毎回多くの観客が来場しています。回ごとに朗読する作品に合わせたテーマを決め、より深く賢治の世界を楽しんでもらえるよう工夫を凝らしています。

2023年の幻灯朗読会の際、会場入り口に飾ったお手製「貝の火」。「漁業用のガラス浮き玉をLEDコースターに乗せ、光を反射させました。ケースは版画家・佐藤国男氏が作って下さいました」(やくも朗読サークル)

③ “推し”(おすすめ)の作品について

―― “推し”の作品を教えてください! また、実際に披露したとき、どんな反応がありましたか?

「貝の火」
「貝の火」

作:宮沢賢治
絵:おくはらゆめ
出版社:三起商行(ミキハウス)
税込価格:1,980円

子うさぎのホモイはヒバリの子を助け、お礼に宝珠「貝の火」を貰います。純真さはいつしか驕りを生み、やがて破滅が訪れます。持ち主の心に反応し、美しく燃える「貝の火」とは何だったのか。朗読会でも多くの反響があった作品でした。

「コシャマイン記」
「コシャマイン記」

著 鶴田知也
出版社 みやま書房
価格 1,500円

アイヌの英雄コシャマイン。同じ名を持つ少年は迫害の末、八雲の地に辿り着き再起を志すが……。英雄の悲劇を叙事詩的に描き、第三回芥川賞を受賞した作品です。八雲町を第二の故郷と呼ぶ著者は、八雲町をその舞台に選びました。

「鈴の鳴る道」
「鈴の鳴る道」

著 星野富弘
出版社 偕成社
税込価格 1,540円

頚髄損傷で手足の自由を失い、口に筆を加えて絵や詩を描き続けた星野さん。昨年のロビー朗読会では、メンバー全員で詩とエッセイを読みました。エッセイの文中に感じたユーモアと、絵と詩の力強さは忘れられません。

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