2024年2月の”推し”絵本
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第38回「家の光童話賞」最優秀賞
山世 孝幸さん
JAグループの家庭雑誌『家の光』で募集した、わが子に贈る創作童話・第38回「家の光童話賞」。応募作品573編の中から最優秀賞に輝いた「どろんこ代かき」の作者、山世 孝幸さんにお話を伺いました。
山世さんは北海道小樽市在住。作品は、『家の光』2024年1月号に掲載されています。
①家の光童話賞に応募したきっかけはどんなことでしたか?
ある作家さんのブログをデビュー前から拝見しており、その方が「家の光童話賞」を受賞された際に、掲載誌を購入して読んだことがきっかけです。
他の受賞作掲載誌も読みましたが、童話らしい童話が入選していることと、生活童話からメルヘンまで幅広いジャンルが受け入れられていることが魅力的でした。
初応募は2017年ですが、2019年までは選外が続きました。
2020年に佳作入賞した際はうれしくて、次は優秀賞、その次は!と期待したものの、翌年、翌々年と選外落選という現実に落ち込みました。
それでも「家の光童話賞」には強い憧れがありましのたので、2023年も7回目の挑戦。
そして、ようやく「家の光童話賞」にたどり着けました。
②受賞作「どろんこ代かき」では、子どもたちの泥遊びが田んぼを耕す「代かき」となっています。子どもたちや犬の生き生きとしたようすがとても楽しい作品です。
作品に込めた思いをお聞かせください。
書き始めたときは、娘が小さい頃に田植え体験で風邪をひいたことと、子どもたちが田んぼで泥遊びをする代かきのニュース映像とが結びついただけでした。
しかし書き進めるうちに、気持ちがだんだん、主人公に近づいていきます。
「どろんこ遊びをしてみたい、でも田植えでは風邪をひいた。でも、やっぱり遊んでみたい……」
そうした心の動きを「気持ちの葛藤」ではなく、「主人公が見ているどろあそびの様子」を書くことで表現してみたつもりです。
友だちの誘いや、犬のアクシデントで田んぼに落ちるなど、ちょっとしたきっかけで新しい体験に飛び込むことができる。ほんの小さなきっかけが、新しい世界をみせてくれる。そんなことが伝わったのであればよいのですが。
そして、若いころに飼っていた犬との思い出も含まれています。つながれている時は雨で濡れた地面で足が汚れるのをいやがるくせに、散歩に行くと自分から泥水に飛び込んでいく、そんなヤツでした。
③これまでも家の光童話賞の佳作をはじめ、数々の入選経験をお持ちですね。
童話を書くとき、どんなことを意識していますか?
童話は子どもから大人まで楽しめますが、子どもが楽しめることが一番大切です。
ですから子どもの目の高さ、子どもの気持ちで書くように気をつけています。
現実の子どもをつかまえて意見をきくことはできないので、自分の中にいる子どもの部分に問いかけながら書いています。
「これって、面白い?」
「つまんなーい」
「このガキ!」
なんて会話をひとりでしている、訳ではありませんが。
いつも一番苦心するのは題名です。
題名が決まらないのは、何に重きをおいて書いたかが、自分でも曖昧だったりするので、書き直すこともあります。反対に、出来上がった作品を読み直しているうちに、ぴったりの題名が浮かんでくることもあります。
山世さんの “推し”(おすすめ)作品を教えてください!
3作品をご紹介します。
(1)絵本「ゴリラのパンやさん」
作 白井三香子
絵 渡辺あきお
出版社 金の星社
税込価格 1,595円
娘に初めてプレゼントした絵本。本当はやさしいゴリラのパン屋さんが、見た目でお客さんに怖がられてパンが売れません。そこでパペットを使ってみると、子どもたちが集まってきますが、わがままなキツネの男の子が来て……。読み聞かせで、大いにウケます!
(2)絵本「おばけと友だちになる方法」
作 レベッカ・グリーン
訳 岸本佐知子
出版社 福音館書店
税込価格 1,650円
かわいいおばけと友だちになれる本です。藤子不二雄の「オバケのQ太郎」は、オバQとの別れで終わりますが、こちらはずっとおばけと一緒。人生が終わっても一緒にいられます。どちらかというと大人向けの絵本かな。
(3)児童文学(幼年児童文学)「きいろいばけつ」
作 もりやまみやこ
絵 つちだよしはる
出版社 あかね書房
税込価格 1,100円
シンプルなお話ですが、ひとことでは言い表せないほどたくさんのことがふくまれています。
「ばけつはどうしてなくなったの?」
「ばけつがなくなった時、きつねの子はどう思ったの?」
子どもに聞かれても、うまく答えられる気がしません。