2023年4月の”推し”絵本
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今月のお客様
今月のお客様は「ねこ画家」の久保晶太さんです。
久保晶太(絵本作家・イラストレーター)
1954年兵庫県生まれ。小学校一年生の頃、先生に絵をほめられて「絵描きさんになる」と決めた。中学校では漫画家志望。高卒後、大阪のデザイン学校へ。二十歳の頃、いわさきちひろの絵本に出会い、人生の最終目標は「絵本作家」と決意。上京し、グラフィックデザイナー、雑誌の編集者を経て、イラストレーターとして独立。妻を亡くしたことをきっかけに、「本当にやりたいことをやらなくては」と奮起。絵本塾で絵本を基礎から学ぶ。55歳にして「あたしのサンドイッチ」(教育画劇)で絵本デビュー。「ポッカリをさがして」(アリス館)で、作家の長井理佳さんとコンビを組む。さらに新作「ねこまめ」(あすなろ書房)を制作。絶賛発売中。2021年春より金沢に移住。
私は、現在68歳ですが、最近やっと「いい絵」を描けるようになって来たのです。久保晶太は今が旬です!(笑)ありがたいことに、絵本の世界は年齢制限がありません。まだまだ、お楽しみはこれからだと思っています。
絵本の紹介とウラ話
「あたしのサンドイッチ」
作・絵 久保晶太
出版社 教育画劇
税込価格 1,100円
絵本塾で学んでいた時代の作品。子どもが幼かった頃の家族3人の思い出を元にしたお話です。顔を寄せ合って真ん中に子どもをはさんで、「サンドイッチ~♪」とやると、キャッキャと喜んでくれた。妻との思い出を残したかったのですね。テーマは「スキンシップ」なのですが、美味しそうなサンドイッチをたくさん出して、見た目も楽しく、笑える絵本にしたかった。絵本塾の先生に絵本ラフを絶賛され、あちこちの出版社に持ち込むも、なかなか良い返事がもらえず・・・出版まで5年かかりました。でも、その間にどんどん改良されて、(何冊ラフを作ったことでしょう?)主人公の女の子も変化して、より可愛くなって、一番良い形で出せたと思います。とにかくサンドイッチが美味しそうに描けないと話にならないので、たくさんスケッチをして、たくさん食べておりました(笑)。中でもジャムサンドの絵は、ほんと美味しそうでヨダレが出てきますから。これを読んでくださったご家族が、「サンドイッチ~♪」ってお子さんとやってくれることが夢です。
「ねこまめ」
作 長井理佳
絵 久保晶太
監修 後路好章
出版社 あすなろ書房
税込価格 1,430円
作家の長井理佳さんが、「猫が丸まって寝ている姿が豆みたい」と不思議な連想をして、そこから生まれた作品です。豆の木から小さな小さな猫が生まれるという……ファンタジーですね。ねこまめは全部で56匹います。今までにもたくさんの猫が登場する絵本はありましたが、一匹一匹にちゃんと個性を持たせ描き分けた絵本はなかったはず。そこが、この絵本の「売り」です。でも、その大変さといったら……まず、56匹を覚えきれません。キャラクター表を作り、名前と色柄や性格、クセなどを設定しました。(絵本に名前は出てきませんけどね)この子とこの子はケンカばかりしていて、でも最後には仲良くくっついて眠るとか。この子はこっちの子に恋をする……みたいな小さなストーリーをそれぞれに持たせる工夫をしました。そういう細かい部分を見つけて楽しむ絵本なのです。何度でも読み返して、新しい発見ができる。そんなのを目指しました。細かいゆえに大変で、全部一緒に描くのはとても無理で。背景だけをまず描いて、ねこキャラはあとで別々に描いたのを合成する手法で作りました。締め切りを何度も延ばしていただき、構想から完成まで4年と2ヶ月かかりました。「長かった~!」これが正直な感想です。多くの子どもたちがこの本と出会ってくれることを祈るばかりです。いっぱい笑ってくれるといいなあ。