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2022年5月号 絵本のSOBA

ようこそSOBAへ

今月のお客様

ようこそ 長野ヒデ子先生

 
長野ヒデ子先生
長野ヒデ子先生
撮影・品田裕美

日本児童文学者協会
日本出版美術家協会、JBBY
絵本学会、日本ペンクラブ
紙芝居文化推進協議会
紙芝居文化の会等の会員。

1941年愛媛県瀬戸内生まれ。1976年『とうさんかあさん』(日本の絵本賞受賞)以来、日常のなかから独特の世界を作り出している絵本作家であり、紙芝居作家。主な絵本に『おかあさんがおかあさんになった日』(サンケイ出版文化賞)、『おとうさんがおとうさんになった日』『せとうちたいこさんデパートいきタイ』(日本絵本賞)、『せとうちたいこさんふじさんのぼりタイ』などのたいこさんシリーズ。あかちゃんが大好きな『まんまん ぱっ!』はブックスタートにも選ばれた。ほかにも「狐」(偕成社)、新刊「おにぎりおにぎり』(おむすび舎)など、多数の絵本作品を世に送り出している。また、紙芝居「ころころじゃぽーん」「食わず女房」など、紙芝居作品も多数ある。7月9日から9月19日まで、鎌倉文学館にて「長野ヒデ子の世界展」開催。

【質問1】

代表作「とうさんかあさん」(石風社)や「おかあさんがおかあさんになった日」(童心社)は、どのような思いから書かれたかを教えてください。

『とうさんかあさん』は私のデビュー作です。当時葦書房の編集者だった福元満治さんは、私の手作りの『とうさんかあさん』を見て、「これには絵本の原点の全てがある。子どもが素朴に繰り返す質問と、1年から6年まで同じ組で同じ担任という答えに、とんでもない驚きと嬉しさがある」と言われ、作者も編集者も新鮮な気持ちで取り組みました。どんな編集者に出会うかで、出版する作品も大きく変わり本に浮力がつきます。この絵本は全国で話題になり、読者や作家やいろいろな出版社との出会いにつながりました。そして、読者がこの絵本と私を育ててくれました。

 葦書房で初版が出てから45年、石風社版になってから25年、今もこの本を読みたいと多くの方たちの声があり、紹介される機会が絶えません。世代を超え、国を超え、読み継がれて欲しいです。 この絵本は、子どものどんな質問に対しても丁寧に聞き、子どもと対等に向き合いきちんと答えているところがいい。これは絵本の原点ですと言われて、賞をいただきました。

『おかあさんがおかあさんになった日』は、産む絵本はたくさんありましたが生まれる絵本は当時ありませんでした。おかあさんとしておかあさんが生まれる、そして新しい命が生まれる。そういう本をつくりたかったのです。そのことが生きる力になると思ったからです。その視点が新しいと言われ、今でも子どもたちの大好きなロングセラーとなっています。

【質問2】

紙芝居の活動もされているかと思いますが。絵本とは異なる紙芝居の魅力について教えてください。

読者が作品のなかに入りこんでいく、そしてそのことで内面が豊かになるのが絵本です。紙芝居作品は演じる事で観客に飛び出してくる。また演じ方により作品が動き出す魅力があります。また1つのものを共に読むことは共感の喜びが大きいのです。その面白さに引き込まれていきます。紙芝居は演じるのです。絵本は読むのです。そこに大きな違いがあります。声に出して演じる事は、声~その性格、品格、年齢などや状況により変わるおもしろさがあります。

【質問3】

どんな視点で手に取る絵本を決めていますか?

絵本はその時の気分で選びます。その時々に関心のある本を読みたいと思いますので、状況により変化します。体調や、社会の関心ごとに引かれて選ぶこともあります。また、子どもにどんな本を選んで与えるかということであれば、その時の子どもの状況によります。そして季節や体調や年齢によってもいろいろ選ぶ本は違いますが、いい絵本というのは年齢にかかわらず赤ちゃんから大人までやはり楽しく面白いのです。そういう絵本に出合うと本当にうれしくて繰り返し読みたくなります。目で読むだけでなく、やはり体で読むのだと思います、聞くのも耳だけでなく体全体で聞きます。本当にいい絵本だと体中が喜びにあふれます。絵本は体で読むものだなあと思います。特にその体で嗅ぎ分ける力は幼子は鋭いです。ですから幼児には、本当にちゃんとした絵本を一緒に読んでほしいです。

【質問4】

今の子どもたちに読んでもらいたいオススメの絵本があったら教えてください。

『まんまん ぱっ!』をぜひ赤ちゃんに。『おかあさんがおかあさんになった日』は幼子から読んでもらいたいです。子どもは生まれる本が大好きなのです。それは自分がいかに望まれて生まれてきたかということを知り、生きる力につながります。そして、誰もが大好きな絵本ウクライナ民話「てぶくろ」。絵本や紙芝居をこうして読むことがなにより平和ということなのです。

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