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2021年9月号 絵本のSOBA

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中川 文子さん

秋田弁の昔語り語り部
秋田県指定無形民俗文化財
「猿倉人形芝居 野中吉田栄楽一座」保存会座員

AKT秋田テレビの番組「JAみどりの広場」で、隔月で昔話の語りを披露。平成15年1月号から18年間にわたり、JA秋田ふるさとの広報誌で民話を掲載

昔話を通して、農業や食のたいせつさや、喜びを伝えたい

民話や昔話は春夏秋冬の季節の話、その月にちなんだ話、正月、節句など行事にまつわる話などで構成されています。また、秋田の季節や独特の風土がはぐくんだ話、農作物の出てくる話など様々です。その中には、資料から作成するものや、私に昔話を聞かせてくれた古老の話があります。

JA秋田ふるさとでは3年前から、広報誌のほかに、録音した民話をJA秋田ふるさとのウェブサイトで視聴できるようになりました。音声で伝えることができれば、話の間の取り方や、方言の独特のイントネーション、昔話の中で唄うわらべ歌も、波長をわかりやすく伝えることができます。

いつも民話は楽しいと思ってくださるように、自分も楽しんで語るように心がけています。

民話を広めていきたい想い

私は自分の祖父母から夜寝床の中で昔話を聞いていました。その楽しい時間が待ち遠しく、この気持ちを今度は多くの人に味わってほしいと思っています。

生活様式が変化し、私のように祖父母から寝床で聞くことは難しくなっていますが、語る場所や相手を考えて、方言で語っても相手がわかるように楽しい民話を語っていきたいと思っています。

読み聞かせ活動をがんばっている方々へひと言

本来絵本の読み聞かせなどは、家族や保育士、学校の先生など、身近な方がおこなうのが理想だと思っています。しかし、現在は多くの読書ボランティアの方々によって支えられています。私の昔話伝承活動は、紙芝居や人形など多くの視聴覚教材を作成して、わかりやすいように工夫しています。私がこの伝承活動をおこなうことで心がけていることは、「聞き手に対して強制はしない」ということです。自分の好みを押しつけることなく、相手の好む話を察すること。聞き手に、まわりの風景や空気の匂いが体全体に伝わるように、話しかけます。絵本の読み聞かせも、絵本の絵だけでなく、絵本の枠の外が想像できるように語り手は努力をしてほしいと思います。「絵本を何冊読んだ」ではなく「絵本を何回も楽しんだ」という気持ちを持てるように、聞き手に寄り添ってもうらえるとうれしいです。

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