5月の”推し”絵本
日常生活の中で体や心、言葉について考えさせられる絵本
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今月のお客様
版画家 竹上妙さん
18歳の夏休み、長野県の山へ星空観察に行きました。暗い丘を登っていくと牛に囲まれ、目が合いました。その瞬間「うわ、見たら見られた…こわい、突進されたらやられる…」と、どんどん妄想がふくらんでいきました。あのとき感じたこわさが、振り返るとおもしろくて、以来ずっと「見たら見られた」をテーマに木版画で作品を作り続けています。
絵本になった『みたら みられた』は、赤ちゃんが絵をじーっと見てくれたりするそうです。もう少し大きくなると「こわいから、こっち向けないで」という子もいるようです。こわがらせるつもりはないですが、「こわい」と言われるのは私にとって、なんだか嬉しい感想です。その世界に入り込んでくれたという証しですから。
私自身、幼い頃に経験した、「なんだかこわいけれど、また見たい」という感覚は、大人になった今でも強く印象に残っています。
「見たら見られた」瞬間は、どきっとしたり、ニヤッとしたり、時には気まずかったり、いろいろです。言葉では伝えきれない感覚を、絵本で感じてもらえたら嬉しいです。そして実際に目が合う瞬間に気がついたり、遭遇するようになったら楽しいなと思います。