戦争で故郷を追われた家族に、一番必要なのは食べ物だったはず。
作 ユリ・シュルヴィッツ
訳 さくまゆみこ
出版社 あすなろ書房
税込価格 1,650円
遠い異国で厳しい環境と戦わなければならない一家。家も他人と同居だったし、食べるものはいつも足りなかった。そんなある日、父さんは市場へパンを買いに行った。でも父さんの買ってきたのはパンではなく地図だった。父さんは壁いっぱいに大きな地図を貼った。なんてことだ! でも僕は何時間も飽きずにその地図を眺めた。地名を読むだけで、ぼくの心はどこへでも飛んで行けた。海、雪山、砂漠、色鮮やかな宮殿、果物でいっぱいの果樹園、ビルが建ち並ぶ都会。僕の時間は魔法の時間だった。ぼくはパンを買わなかった父さんを許した。