ひとつしかないのではなく、ひとつずつある。お月さまはそういうものです。

作 長野ヒデ子
出版社 童心社
税込価格 1,430円
お月さまがぽっかりとでています。小さいあこちゃんは、お母さんと手をつないで帰ります。「ねえ、おかあさん、アフリカにもおつきさま ある?」「あるわよ」「イギリスにも ある?」「もちろんあるわよ」「みんなひとつずつあって、よかったね」幼い子どもたちが口にする言葉は宝物です。月がひとつしか存在しないことを知らない無邪気な子どもに、「お月さまはひとつよ」と言わないお母さんがまたすばらしい。真実を伝えるよりも、月に心を動かし、多くの子どもたちに心をはせる娘に同調していく、その心に計り知れない愛情を感じます。