キャベツのまわりには、たくさんの命の営みがある。

作 甲斐信枝
出版社 福音館書店
税込価格 990円
よあけ、きゃべつ畑で、ぱりっ、ぱりっ、葉っぱの広がる音がする。青虫たちがきゃべつを食べ始める。アリが忙しそうにいったりきたりして、トノサマガエルがぴょんと葉っぱの上に座り込む。きゃべつのくぼみに、クモがせっせと糸を張り、きゃべつ畑の一日が始まった。日が昇ると、モンシロチョウが卵を産みにやってくる。月が昇ると、土の中からはいだしてきたヨトウムシが茎を上っていく。夜の虫たちの食事の時間だ。そして、東の空に薄明かりがさすころ、虫たちはそっと自分のすみかへ帰って行く。こうしてまた、キャベツ畑の一日が始まる。