紙芝居作りのポイント
芸術の秋。じっくり何かを考えるにはぴったりの季節です。コロナの影響で増えた「おうち時間」を使って紙芝居作りに挑戦してみませんか。
ここでは、絵本とは違う紙芝居の特性を生かした、基本的な作り方を紹介します。
自信作が完成したら、ぜひ食農教育紙芝居コンクールへご応募ください。
①テーマを決める
まずは、テーマを決めます。あれもこれもと欲張らず、一つにしぼりましょう。「平和」や「環境破壊」など大きなことを伝えたい場合でも、観客(子ども)が身近に感じられる題材を選びましょう。
例)平和→けんかと仲直り、環境破壊→残さず食べる
ひらめきのヒント
なにも思い浮かばないときは、まず頭を柔かくしよう!ゲーム感覚で発想の訓練ができるので、ぜひ子どもや孫と一緒にやってみて。
- 紙芝居は見せるものなので、視覚から発想する
①色で考える 例)赤い色の食べ物を探してみる
②形で考える 例)三角の食べ物を探してみる
③模様で考える 例)しま模様の食べ物を探してみる - 紙芝居は声に出して読むので、音や言葉から発想する
①擬音や擬態語を使ってイメージを豊かに
例)程度が増す擬音語探し
②同音異義語や回文、濁点、長音など、言葉遊びに物語の種を見つける
ポツポツ→シトシト→ザアザア
ツヤツヤ→テカテカ→ピカピカ
例)同音異義語 カキ
逆さに読んでも意味が通じる クサ→サク
濁点をつけると別の意味になる カキ→カギ
長音にできる ビル→ビール
②脚本を考える
紙芝居は絵本と違って「演じる」ものです。そのことをしっかりと頭に入れて登場するキャラクターの会話を中心にストーリーを考えてみましょう。声に出して演じながら考えるとより効果的です。
絵本と違って読み返すことができないので、短い文章・わかりやすいストーリーを意識し、登場するキャラクターも5人までにおさえましょう。全体にあまり長くなりすぎないように注意して、紙芝居の枚数が8~12枚でおさまるくらいが適当です。
ひらめきのヒント
- 起承転結を意識する。
- 単調な話では観客が飽きてしまうので、「ドキドキ」「ハラハラ」「大笑い」「泣かせる」工夫を。
例)主人公を絶体絶命に追い込む、とんでもないことをさせる、大きなものを失わせる。そこからどう立ち直るのかを描く。
- ストーリーの着地点(落語でいう落ち)を工夫する。
③下絵を描く
紙芝居の展開を吟味するために、場面ごとの下絵を描いてみましょう。これを「箱がき」と言います。大まかな下絵を見ながら、流れをよく検討します。この段階でじっくり作りこむことがとても大切。よい紙芝居はテーマがしぼられていて一目で場面の状況が伝わり、リズムがあります。
④ひな型を作る
「箱がき」をもとに、はがきサイズの紙芝居(ひな型)を作ります。紙芝居は、観客から見て右から左に絵を抜きます。全体のバランスはもちろん、抜きの効果を意識して次の場面に登場する人物は画面の右に書くなどの工夫を。
⑤試演をする
「ひな型」の紙芝居を演じてみましょう。かならずだれかに見てもらい感想を聞いてください。試演することで絵や脚本を深め、作品の完成度を高めることができます。
⑥本書きをする
上手に描くことをあまり意識しすぎず、遠くからでも絵がよく見えることに重点をおいて、のびのび描きましょう。
描くときのポイント
- 遠くからでも見えるように、形をはっきり描く。
- はっきりとした色を使う。
※色鉛筆は薄いので紙芝居には不向きです。 - 背景はごちゃごちゃ書き込まない。
- 遠景はなるべく避ける。
- 全体やアップなど、画面に変化をつける。
- 絵が苦手な人は、色紙や新聞紙などを手でちぎって貼る方法がおすすめ。
知っておきたい書き方のルール
紙芝居では1枚目の絵の裏に2枚目の脚本、2枚目の絵の裏に3枚目の脚本……、というように書いていきます。従って、1枚目の絵の脚本は最後の絵の裏に書くことになります。また、画面を「抜く」ことを考えて、脚本は縦書きにします。
監修/山本省三(絵本作家・紙芝居作家)