• 家の光協会が開催する
  • さまざまなコンテストや
  • 地域に読書の輪を広げる
  • ための講座等を紹介します

一般社団法人 家の光協会は、
JAグループの出版文化団体です。

『十回分の本読み券』 _読書エッセイ

『十回分の本読み券』

佳作 『十回分の本読み券』 渡辺惠子  あれは今から三十三年前。私が三十二歳の時だった。その頃の私は、めまいと吐き気と頭痛に悩まされていた。  症状は日ごとにひどくなり、意を決して、総合病院で精密検査を受けてみると脳の中 …

『夜の読書会』

佳作 『夜の読書会』 小名木陽子  様々な出来事があって、夜、眠れなくなってしまった高校生の娘。母が側にいてくれると何となく安心すると言うので、それならば、折角だし、本でも読むかということから『夜の読書会』が始まった。 …

『夜学へ進んだk君』

佳作 『夜学へ進んだk君』 三宅隆吉  昭和二十一(一九四六)年小学校へ入学した。太平洋戦争に敗れた翌年であった。都市の大部分は空爆により廃墟となっており、日本人だけで三百十万人が亡くなった。食べ物も住まいも衣類も履物も …

『奇跡の時間』

佳作 『奇跡の時間』 浦千幸  「朝読」という言葉をご存知だろうか。「朝の十分間読書」といって、全校一斉に朝の十分間を読書に充てるという、読書推進活動である。三十年ほど前に推奨された取組で、丁度あちこちの学校で朝読が導入 …

『家族と一緒に成長する絵本』

佳作 『家族と一緒に成長する絵本』 岸本佳子  私の父は、旧国鉄マンで、駅員時代は改札口で切符を切ったり、線路のポイントの切り換えをしたりして、駅の業務全般をこなしていたらしい。幼い頃、母と弁当を届けに行くと、忙しく動き …

『寄り添う本』

佳作 『寄り添う本』 和井田勢津  あの数か月のことを思い出すと、今も胸が苦しくなる。通り過ぎてきた道なのに、また戻ったらとこわくなる。  明るく世話好きで、元気でいるのが当たり前だと思っていた母が、体の不調を口にするよ …

『小さな朗読会』

佳作 『小さな朗読会』 宮﨑みちる  中学三年生の時、私は背骨の曲がる側弯症という病気になった。命に別条はないものの、がっちりと型を取ったコルセットを、一日中胸から腰にかけてはめる生活はどうにも動きにくく、身体の窮屈さと …

『私を本好きにしたのは』

優秀賞 『私を本好きにしたのは』 沢絵美子  私を読書家にしたのは本を読まない父だった。  父は幼い娘から度々発せられる質問に辟易していた。「なぜ月は追いかけてくるの?」「なぜ空は青いの?」というような子どもの素朴な疑問 …

『見つめられた種』

優秀賞 『見つめられた種』 藤田一代  黄色い小さい花を見つけた。庭掃除をしているとほうきの先にからまっている。つるがミョウガ畑まで伸び、子どもの手のひらくらいの葉をつけた西瓜の花だった。なぜこんな所に咲いているのだろう …

『写真の君へ』

優秀賞 『写真の君へ』 田上裕子  出張先の駅前で古書店を見つけた私は、電車を待つあいだに本でも選ぼうと考えた。  帰路の電車で読むための一冊を探しに店内を進むと、口の開いたダンボール箱の中に夥しい数の文庫本が見えた。そ …

 

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